クリフビール / 沖縄県

「イギリス伝統のリアルエールを日本で造りたくて沖縄でのビール醸造を決意しました。」

「イギリス伝統のリアルエールを日本で造りたくて沖縄でのビール醸造を決意しました。」

英国のエールをベースに沖縄の気候とマッチしたクラフトビール の製造を行う”クリフビール”。オーナーの宮城さんはもともとデザインの仕事をされていてその感性を生かして、醸造されるビールにアーティスティックな物語を持たせています。本日はクリフビールが誕生された背景、それぞれのビールに込められたこだわりを中心にお送りいたします。

  1. 長年のイギリス生活から日本でのビール醸造を決意した。
  2. 沖縄の気候、風土に合わせてアレンジされたビール。
  3. それぞれのビールに込められた物語とは。
  4. 宮城さん直伝!クリフビールの楽しみ方。

長年のイギリス生活から日本でのビール醸造を決意した。

−まずはブルワーとなった背景を教えてください。

僕がビールを造ろうと思ったのは、1999年から2008年までイギリスで暮らしていた経験が大きく影響しています。大学では現代アートを専攻していてイギリスの美大に行っていたんです。美大に行きながらデザインの仕事もしていまして、大学を卒業した後もデザイナーとして広告代理店に勤めました。

▶️クリフビール 宮城さん

あるとき、妻が妊娠してそれまで住んでいたロンドンを離れることになって、ロンドンからは遠く離れたウェールズという田舎に引っ越しました。そこでイギリスのエールビールを知ったのです。

実はイギリスのエールビールは独特で、ヨーロッパ大陸諸国のビールとは歴史が異なっています。イギリスでは『リアルエール』という伝統的な製造方法があり、ビールを濾過しないまま木樽で二次発酵させ、酵母を生かした状態のままハンドポンプ式の特殊なサーバーで注ぐ、常温で飲まれるビールのことを言います。

私がイギリスにいた時、リアルエールが廃れていく流れがありました。ナイトクラブなどではキンキンに冷えた『ラガー』を飲むような方々が増えていったのです。

しかしイギリスの伝統製法で造られるリアルエールを守ろうとする『CAMRA(ヨミ:カムラ)』という団体がありまして、ラガーへと人々の嗜好が移っていく過渡期にリアルエールを守ろうとする動きが素敵だと感じたのです。

また、イギリスではロンドンから離れた小さな街でも小さな醸造所がたくさんあって、彼らは教会などに集まっては自作のビールを樽で持ち寄って楽しんでいたんです。そういうビールを起点とした、日本のお祭りとは違うコミュニティのつながりを感じた時にビールに対する興味が深まりました。

その時はまだビールを造りたいとは思っていなかったのですが、イギリス人の知人に、趣味でビールをホームブルーイングしている人がいたんです。それで「なるほど!ビールって自分で造れるんだ」と思って、そこからビール醸造の原理を勉強して、地元の沖縄に帰ってきて生活が落ち着いてきたタイミングで、日本でもイギリスのビールを造りたいと決意したのがブルワーとしての出発点になります。

沖縄の気候、風土に合わせてアレンジされたビール。

−宮城さんがイギリスのビールに影響を受けたのですね。クリフビールでもイギリスのビールを造っているのですか。

最初はリアルエールを造ろうと思って、炭酸が少なくて常温のビール醸造を始めたんです。出来上がったビールをみなさんに飲んでもらって、みなさん「美味しい」って言ってくれるんですけど、僕自身はいまいちしっくりきていない感じがして、その時造っていたリアルエールが沖縄の気候と合っていないことに気がついたんです。

沖縄はイギリスに比べて湿気もあって温度も高いし、イギリスなら外の気温が15度くらいで美味しく飲めるリアルエールが、沖縄だとぬるすぎて美味しく飲むには厳しい状況がありました。

そのような状況の中、沖縄でビールを造る意味を考えた時に、気候や原材料、風土に合わせてその土地に合ったビールを造らないといけないと思いました。それからは酵母やホップなどはイギリス産のものを使いつつ、アメリカン的な要素もミックスさせて沖縄風にビールをアレンジしました。いつもみんなが美味しいと感じてもらえるビールを造ろうと思って醸造しています。

▶️醸造所の様子

−そうだったのですね!こちらのショップがオープンしたのはいつからですか。

去年の7月からになります。もう少しで1周年です。2017年2月にビールの醸造免許をとったのでブルワーとしては3年目になります。ショップオープンまではビールイベント出店や飲食店への樽でのビール販売を行っていました。

▶️ショップの様子 飲食店のスタイルではなくボトル麦酒での販売をされている

それぞれのビールに込められた物語とは。

−オススメしたいビールを教えてください。

今月新しく仕込む予定なのが、ベースは『ベルジャンスタイル』の白ビールで、使っている原料が沖縄産のものです。もともと沖縄で小麦を育てている方がいて、その方からいただいた小麦を使ったビールを造ります。ベルジャンスタイルに使われるコリアンダーシードも沖縄の北部でつくっている方がいて、沖縄産のスパイスも入れます。

また、造っているビールのラベルに注目して欲しいのですが、それぞれのビールには物語を設定しています。ラベルを自分でデザインして表現することも目標にしていました。

特に特徴が出ているのが『ペールエール』ですね。イギリスの原料にこだわって造っています。『PECKER’S EXCUSE(ヨミ:ペッカーズエクスキューズ)』ですね。『キツツキの言い訳』という意味なのですが、ラベルのデザインで左のキツツキが右の男性の背中をつついていて、それはこのキツツキがおせっかいを焼く人で細かいことを突いてくる人なんです。例えば「ドイツビール飲んでるのにグラスが違うじゃないか」とか細かいことを言ってくるような人の設定ですね。

▶️PECKER’S EXCUSE キツツキの言い訳

『IPA』は『Happy Blue Boar(ヨミ:ハッピーブルーボー)』と名付けました。『幸せの青いいのしし』という意味です。このいのししは普段は顔がグレーなのですが幸せのときだけ顔が青くなるんです。彼は敏腕のビジネスマンで、新規プロジェクトのリーダーなんですね。土曜にも仕事があって仕事に行こうとしたら、彼女が「行かないで」って後ろから抱きついてきたんです。彼が「仕事だから仕方ないだろ」と言いながらも、幸せだから顔が青くなっているというストーリーですね。

▶️Happy Blue Boar 幸せの青いいのしし

−物語を考えてからビールを造っているのですか。

反対でして、ビールを仕込んで出来上がったものの味を見てから、ストーリーを考えてデザインしています。先ほどお伝えした新しく仕込む白ビールも、もう少しするとみなさんにビールの名前をお伝えできると思います。

宮城さん直伝!クリフビールの楽しみ方。

−ビールに物語があるなんて素敵ですね。それぞれのビールに合わせたオススメの楽しみ方はありますか。

PECKER’S EXCUSEはチーズとのペアリングがいいと思います。特に沖縄で有名なチーズ職人で『チーズガイ』と呼ばれているジョン・デイビスさんという方がいて、その人が造つくっている、硬めのチーズも一緒に販売しているのですがみなさん合わせて買っていきますね。

Happy Blue Boarはホップを多めにいれて造っているので、食事と合わせるよりはビール単体で飲むほうが良いと思います。

他に『文豪』という『チョコレートスタウト』があるのですが、ラベルにもあるように読書をしながら飲むといいと思います。本とのペアリングが楽しめますね。文豪自体、アルコール度数6%でガブガブ飲むようなビールではなくて、炭酸が抜けても美味しく飲めるように造っているので、本をじっくり読みながら飲んで欲しいなと思います。

−梱包されている箱もお洒落なデザインですね。

これも僕がデザインしていてビールが3本入るようにつくりました。バレンタインのときはパン屋さんとのコラボをしました。バレンタインということでチョコレートのパンとチョコレートスタウトの文豪をセットで販売をしたんです。

また、ロゴのデザインは自分自身がベースになっています。僕がクリフというニックネームでして、由来が頭の形が絶壁であることからきています。そのためロゴのデザインも絶壁になっています。

僕はビールを醸造する中で『地ビール』という意識よりも『クラフトビール』という意識が強いです。そのため、デザインやロゴ、ビールのストーリーをつくりこんでビール醸造を行っていきたいです。

Director’s Voice

クリフビールでは、現在のところショップ店頭でのボトルビールの販売、または沖縄県内の飲食店でのグラスビールでの提供をおこなっていらっしゃいます。近々、オンラインショップの開設を計画しており、今後はオンラインショップからでも購入することができるようになるそう。全国のクラフトビールファンの方にもビールをお届けできると、宮城さんは意気込まれていらっしゃいました。宮城さんが造るイギリススタイルを取り入れたビール。ぜひこの機会に味わってみるのはいかがでしょうか。

Junki Tada

クリフビールについて

ブルワリー名クリフビール
住所〒904-2173
沖縄県沖縄市比屋根6丁目18-1
TEL098-953-7237
営業時間12:00~19:00(木曜〜土曜)
Facebookhttps://www.facebook.com/cliffcraftbeer/

クリフビールが買えるオンラインストアはこちら

職人インタビュー 2020.04.26
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