「ブドウや食用菊、枝豆、イチゴミルクのビールなど、素材の味を生かした弥彦村や新潟県の魅力が詰まったビールを造っています」
「ビールを通じた様々な出会いから”ビールを巡る大冒険”をビール造りのコンセプトに決めました。」
沖縄県那覇市国際通り。ここは県外の観光客がよく訪れるスポットとして沖縄県でも有名な観光地です。そして国際通りから少し歩くと、自社クラフトビールを醸造・提供する浮島ブルーイングが見えてきます。沖縄県の地方都市の地域づくりにつながるようにと想いを込めて、産地の作物を使ったビール醸造にも挑戦されています。本日は浮間ブルーイング 由利さんにビール造りに込められた熱い想いを聞いてきました。
街づくりのコンサルタントからブルワリー設立までの道のり
−本日はよろしくお願いいたします。まずはブルワリーを設立された経緯を教えてください!
はい、よろしくお願いします。浮島ブルーイングの由利と申します。私自身、大学では建築学科を卒業しその後都市計画を専門に仕事をしておりました。元々ブルワリーとなる前から、会社を設立して街づくりや地域づくりの支援計画を行うコンサルタントだったのです。
コンサルタントとして様々な方にお会いして、いくつかのエリアのマネジメントを計画していたのですが「街づくりに対するアクションがどうしても支援する側になってしまう」というように思い始めたのです。
私自信がもっと直接的に街づくりがしたいと思ったときに「モノをつくったり、商売を始めたりという形をやりたいな」と行きついて、クラフトビール造りを始めました。
−なぜ多様なモノづくりがある中でクラフトビールを選ばれたのですか。
クラフトビールを造ることになったきっかけはいくつかあるのですが、ビール醸造そのものが不確実性の高いことが一番の理由です。ビール造りはいろいろな方法で工夫を凝らすことができ、さらにそれを改良していくのが面白い研究分野のような感じがして、どんどんビール造りにはまっていきました。2017年の12月にビール醸造の免許を取得しまして自社ビールを提供するお店を設立しております。
ビールのコンセプトは「ビールを巡る大冒険」!?
−これまで由利さんが造ってきたビールは何種類ぐらいあるのでしょうか。
15〜16種類あります。醸造所はお店から200メートルくらい離れたところにあって、醸造所でビールが出来上がるとこちらのお店の方に運んでいます。
現在お店で飲めるのは8種類のビールです。銘柄がローテーションしていくような感じで常時飲めるビールを入れ替えています。期間限定ビールなどもありますよ。
−ありがとうございます。ビール造りにおいてコンセプトはございますか。
私はクラフトビール自体、マイナーな時代が長かったと思っているのですが、クラフトビールを通じた様々な出会いが楽しかったので「ビールを巡る大冒険」というのが全体のコンセプトですね。
例えば、定番化を考えている商品で『仲村渠 Wheat X (ヨミ:ナカンダカリ ウィート エックス)』という商品があるのですが、他のビールはビール名に『浮島』とついているのですが、仲村渠 Wheat X は仲村渠という沖縄の地方の名前をビール名につけています。
仲村渠の集落ではお米をつくっておりまして、そのお米の籾殻を活用したビールが仲村渠 Wheat Xです。こちらのビールには小麦を原料に使っているのですが、ビールを造る過程で小麦麦芽を粉状にしております。小麦麦芽粉はとても細いのでそれだけでは醸造工程がスタックしてしまうのですが、スタックを予防するためにお米の籾殻を入れております。ホップはシトラというホップをメインで使っていますね。
今回は仲村渠という地域に着想してビールを造りましたが、仲村渠のようなマイナーな地域であっても、ビールによって街の認知度を向上させることがができるのではないかと思います。
日本の地方都市の共通する問題点の一つが人が住まなくなることです。なぜ地方都市には住まなくなるかというと、中学、高校までは地元の学校もあり過ごせるのですが、大学進学や就職を考えても、地方には大学や就職先がないケースが多いためです。
私は何とかして地方都市にも仕事をつくれないかと考えております。特に沖縄では農家か海に出て魚を獲るのか、くらいしかないのですが、農家さんとして就業しようと思った時も確実性が薄いのが現状でして、生活をしていけるか不安なところに、ビールを通して雇用を生み出せれば、地域づくりにつながる良い取り組みなのではないかと思っています。
−今後も沖縄県内の他の地方の作物を使ったビールを造る予定があるのですか?
現状、明確にあるわけではないんですけど、私たちは元々やってる地域づくりのコンサルタントの仕事での出会いも多いので、出会いを大切にして地域づくりにつながるビール造りを実現できるようにしています。
オススメビールの紹介!
−まずは仲村渠 Wheat X を起点に地域づくりにつなげていくということですね。他にオススメのビールはございますか。
定番ではありますが『浮島ホワイトフローラ』や『浮島ゴールデン107』、『浮島IPA』も面白いですよ。
浮島ホワイトフローラは、沖縄のタンカンとカーブチーと呼ばれる柑橘類の果物を使っております。カーブチーは沖縄原産の果物で、皮が分厚いという意味があるみたいです。これらの果物は琉球王朝の時代からお茶菓子を作っている老舗の方から分けていただいて造りました。
味わいとしては白系のビールに、コリアンダーの爽やかな香りが出るようにしています。飲みやすいビールで女性にもオススメです。
浮島ゴールデン107は*IBUの高いビールを造りたいと思っていて実現させました。当初の設計でIBUが107となっていたためビール名にも「107」とつけていたのですが、現在のIBUは96くらいになっています。
*IBUとはInternational Bitterness Unitsの略称。ビールの苦味基準であり、数値が高いほど苦いビールである。ちなみに国内の大手ビールメーカーの主力商品でIBUは20前後。
浮島IPAは造り方とかドライホップの仕方を変えるのですけど、試行錯誤した工夫が入っております。
−料理のオススメはありますか。
クレソンのサラダがお好きな方が多いですね。これも沖縄でつくってる野菜です。
−お酒も料理も県内産のものを使っているんですね。
はい、それを心がけています。
−お店に来られる方はどのような方が多いですか。
どちらかというと地元の方が多いです。観光客の方でもクラフトビールが好きで、わざわざお店を探して来てくれる方もいらっしゃいます。最近だとクラフトビール人口が増えてきているので嬉しく思います。
ただ、最近ではコロナウイルスによる影響が不安です。いつまで営業自粛となるのかが見えないのが辛いですね。
−浮島ブルーイングのビールを飲むことができるのはこちらのお店だけですか。
うちだけではなくボトルビールで卸していたり、ビール樽で県内と県外でも国内のタップルームさんから注文をいただくことがありますので、状況によりますが他で飲める場合もあります。オンラインショップでの販売も行っています。
由利さんが提唱するビールにぴったりな食事とは
−最後の質問です。オススメの晩酌を教えてください。
仲村渠 Wheat Xなど小麦で造られた白ビールを合わせるのであれば、同じ小麦を使った食事があいますね。
浮島ゴールデン107や浮島IPAであれば、カリーヴルストという、ドイツでのソーセージの食べ方でケチャップにカレー粉をまぶして、ソーセージにつけて食べるペアリングがオススメです。少しアルコール度数が高め、大体6~7%のビールと相性がいいですよ。
また、ご自宅で楽しまれるのであればオススメの食事がありまして、うちでは『アクアチーズフォーナイト』というナッツの販売もしていて、沖縄の恩納村で取れたあおさという海藻をナチュラルチーズと一緒にオーブンで仕上げて、ナッツに絡めたものです。
オンラインショップでも販売しているので手軽に購入できますし、チーズの塩味とあおさの香りとナッツの相性が相まって食事としても強すぎない刺激があってビールとの相性が抜群です。
アクアチーズフォーナイトはどんなビールにもに合うのですが、ペールエール、ヴァイツェン、ゴールデンエール系のサラッとしたビールがオススメです。
さらに、飲み方が変われば晩酌の楽しみ方は変わると思っていて、1人で飲むのもいいけどやっぱり家族、友人、恋人などみんなで飲むのがいいと思います。外出は控えめにしつつも家飲みで、今日も美味しいお酒を楽しんでください。
Director’s Voice
浮島ブルーイングでは、残念ながら新型コロナウイルスの影響を受けて当分の間お店の営業を自粛されるそう。先行きが見えない中、本来であれば不安であるはずなのに、取材中にはジョークを言われたりエンターテイナーのように気丈に振る舞う姿がとてもかっこいいなと感じました。取材本文にもありますが、オンラインショップは稼働されており、お店でビールを楽しむことはできませんが全国どこでもお家で浮島ブルーイングの商品を楽しむことが可能です。是非この機会に家飲みで浮島ブルーイングのビールを楽しまれるのはいかがでしょうか。
Junki Tada
浮島ブルーイングについて
ブルワリー名 | 浮島ブルーイング |
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住所 | 〒900-0013 沖縄県那覇市牧志3丁目3−1 水上店舗第二街区3F |
TEL | 098-894-2636 |
WEBサイト | https://www.ukishimabrewing.com/ |
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